2010.03.09 Tuesday
忍逢春雪解 向島見番通り日記 その二百二十七
![]() お昼過ぎから降り出した雨。 少し北の方では、雪になった模様です。 こんな三月の雪の夜に思いだすのは、三千歳と直次郎。 吉原の花魁と、お訪ね者の悪党のお話です。 直次郎は、悪の美学を絵に描いたようないい男。 お上から追われる身の彼に、なかなか逢えない三千歳は、 とうとう体を壊し、入谷の寮へ養生に来ています。 そんなある日の雪の夜。 恋しい直次郎がやってきます。 冴えかえる春の寒さに降る雨も暮れていつしか雪となり 「直はん!逢いとうござんした!」 一日逢わねば千日の 思いにわたしゃ患うて つかの間の再会。 しかし、追手はすぐそこまで迫ります。 直次郎は一人、囲みを破って逃げます。 「三千歳! もうこの世では逢わねえぞーっ!」 雪の夜道へ、素足で走りだしてゆく直次郎。 「直はんっ!」 三千歳の悲しい叫び声。 今、外を見たら・・雪になっていました。 耳をすませば、都会の喧騒に混じって、 直次郎の雪を踏む足音が聞こえてきそうです。
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